img-212102547-0001

『バス・ラプソディー』
三浦 修 著

四六判並製208P+口絵
定価:1575円(税込)
2月下旬発売予定

カバー写真がどうしてクレイジークローラーになったのか?
というお話のつづきです。

実は、この本のために何人かの方からお借りしていた
タックルボックスをガサゴソやっていると、
もう一時代前と思しきウッド製のクレイジークローラーが出てきました。
かなり使用感のあるものでしたが、そいつは物凄いオーラを放っていた。
ビンテージルアーに全く不案内な僕でさえ、「うわ…」と思うほどのものでした。

著者の三浦さんも、本書のルアーを
撮影してくださった福原毅さんの目も釘付け。
「これでいこうよ!」
これならすごいビジュアルになる、候補は決まったと思いました。

でも…。
このクレイジーは残念ながら、「僕たちのクレイジー」ではなかった。
もしもこれをカバーに使ったら、僕たちが目差すものとは違う何かになるだろう。
そう思って、泣く泣く諦めました。

でもその時、三浦さんが思い出してくれたのです。
「確かスミスの復刻シリーズにこれもあったと思う!」

そして、三浦さんが苦労して捜し出してきてくれたそのルアーは、
福原さんが見事に魅力を引き出し、バトンを受け取った
デザイナー神谷利男さんのアートディレクションによって、
この上もなく素晴らしいカバーに仕上がりました。

「ラプソディー」に「クレイジー」です。
もう、言うことなしでした(笑)。

現在が未来と過去の両方につながって「在る」ように、
一時代前のウッドプラグの存在がなければ
本書のカバーは、このビジュアルにはなっていなかったことでしょう。

復刻のクレイジークローラーをカバーにもってきたのには、
そんな意味も秘かに込めてみました。

道具が高度に発達して洗練され、同じバスフィッシングの中でも
細分化が進み、最先端のテクニックを常に把握していないと
釣りでさえ時代から取り残されてしまいそうな気のする現代。
でも、時間は、途切れているわけではありません。
70年代のバスフィッシングも80年代のそれも、
複雑に見える糸の先で、「今」につながっているはず。

生意気言ってすみません、
でも、そう思いませんか。