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みなさま、今年もお世話になりました。

本年最後にご紹介する本は、
『山の仕事、山の暮らし』(高桑信一)。
読み応えのある一冊です。

本書は、別冊つり人『渓流』の連載「山に生きる」を
一冊にまとめたものです。
著者の高桑さんはこの連載を通じて、
約10年にもわたって山に生きる人々の暮らしを追い続けました。
本に登場する19人の人たち−ゼンマイ採り、山小屋の女主人、
山椒魚採り、奥山の蜂飼い、漆掻き、炭焼き−
彼・彼女(あるいは夫婦)たちの山に沿った仕事と暮らしぶりが、
たんねんな取材に裏付けられたその文章によって
鮮やかに描き出されてゆきます。

1993年の連載開始以来、著者はまた、取材を通して
山に生きる人たちが次々にその姿を消してゆくのを
見続けてきました。放っておけば誰知るところもなく
消えていった人たちの暮らしを、その豊かな最後の光を、
著者は掌に掬いとるようにこの本に書き記したのです。

時計の針は一日24時間を刻みますが、
人間一人一人を同じように通り抜けていくとは限りません。
ここにあるのは、自然に寄り添い、自然に支えられて生きてきた
人たちの、ゆっくりとした時の流れの記録です。

あなたもどうぞ、本書を通じて忙しない時間の流れを、
しばし緩めてみませんか。

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山の仕事、山の暮らし
四六版上製448P 定価:2520円(税込)

掛け値なしの傑作です。

今週のピカイチ度★★★
渾身のルポ度★★★
消えゆく日本の名もなき暮らし度★★★
(★3つで最高)

新年もよろしくお願い申し上げます。よいお年を。