フライフィッシャーならずとも
持っておきたい写真集
北海道・稚内から九州・鹿児島まで、選び抜かれた79のフィールド/2700kmの絶景写真集。
1988年創刊にして唯一の国内フライフィッシング月刊誌『FlyFisher』(フライフィッシャー)で撮影活動を続ける写真家・津留崎健氏が、数万点におよぶ作品の中から「日本のフライフィールドの色彩」を厳選しました。
原野を縫う北海道の川。ブナの森の雫ほとばしる山河。田の脇に寄り添う里川。草原のチョークストリーム。幽玄な湖。源流のジン・クリア。南国九州の巨岩石の流れ。流れにひそむ美しきトラウトたち。
写真集は、北から南へ向かって、長い旅のように展開してゆきます。頁をめくっても、めくっても終わらない圧倒的なボリュームは、何度眺めても飽きることがありません。
それぞれのフィールドには、その醍醐味をしるしたシンプルな文章が添えられています。
また、巻末にはフィールドインフォメーション(交通、シーズン、ターゲット、推薦フライ、管理漁協)も掲載。実際の釣行にも役立つこと間違いなしです。
本写真集は刊行と同時に全国の「キヤノンギャラリー」で同名の写真展が行なわれ、写真集・展覧会ともに高い評価をいただいております。
今週のイチ押し度 ★★★
釣り人の本棚マストアイテム度 ★★★
実は隠れた名ガイドブック度 ★★
(★=3つが最高)
幸福の森
A4変形判上製408P
定価:5670円(税込)
〜制作の舞台裏〜
構想1年、制作に半年をかけた超力作!
408Pもあるこの写真集(ちなみに大きさは天地215×左右228×幅27ミリといったところです)。
作るのは大変でしたが、作った甲斐もありました。
最初にあったのは、
「津留崎さんの美しい作品で日本列島を縦断するフライフィッシングの写真集を作りたい」
という思いです。『FlyFisher』での編集時代を通じて津留崎さんと取材に何度も同行し、作品を見続けてきた僕には、それは日本の多彩な自然の変化を盛り込んだ素晴らしい一冊になるはずだという予感がありました。
そこでまず、『FlyFisher』にこれまで掲載された記事をすべてコピーしてリストアップ。それをもとに津留崎さんとお話を進めていきました。
津留崎さんもはじめは、同じような景色が続いて単調なものになってしまうのではないか、という不安もあったそうです。ところが。
やはり日本の自然はすごかった。
小さな国ですが南北2700kmはダテじゃない!
北海道から鹿児島までフィールドを縦に並べて見ていくと、そこには見事な自然のグラデーションとでもいうバリエーションが表現されているではありませんか。緯度の差がはっきりと作品に感じられるとともに、標高差や四季がさらに複雑な奥行きを与えてくれています。同じ表情の川など1本もありません。
膨大な写真ストックを整理する間に、津留崎さんも大きな確信をつかまれたようでした。
「これはイケル!」僕たちの予感はこの時点で確信に変わったのです。
が、しかし。
本当に大変なのはこれからでした。
(以下、続きます。写真集が大作なら「舞台裏も大作?」)